場面緘黙とは(当事者研究)

場面緘黙症とは:理解と支援の第一歩

場面緘黙症は、話す能力が十分に備わっているにもかかわらず、特定の社会的状況、特に人との関わりが求められる場で、声を出して話すことが一貫してできない状態を指します。これは単なる「恥ずかしがり」や「人見知り」といった性格の問題ではありません。

この症状の根底には、脳の複雑なメカニズムが関わっています。社交の場において、外界からの刺激が脳内で「危険」と誤認識されることで、恐怖という強い感情が引き起こされます。この結果、自己防衛反応が働き、過剰な覚醒水準を下げようとするために、話すことや動くことといった行動が極端に抑制されるのです。

つまり、話せないことや動けないことは、その人にとって無意識の**「生存戦略」**であり、差し迫った恐怖から自身を守ろうとする防衛反応なのです。しかし、この防衛反応は大きな課題も生み出します。最も問題となるのは、人との関わりから受け取る多様な感情を正しく認識・処理できず、そのほとんどが「恐怖」へとすり替わってしまうことです。これにより、適切な行動を起こせなくなり、社会生活や人間関係において様々な困難に直面することになります。

場面緘黙症への理解を深めることは、当事者が抱える見えない苦悩を知り、適切な支援へと繋げるための第一歩です。

1,身体感覚、感情のラベリング、覚醒水準


2,耐性の窓、脳のメカニズム


3,生存戦略としての場面緘黙


4,青年期以降の場面緘黙症

かんもく君
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